2025年5月6日

家庭用エスプレッソマシンにボトムレスフィルターは必要なのか

  

家庭用マシンのデディカアルテを使って、元々付属しているポーターフィルターとボトムレスフィルターの味の違いを比べてみました。

ボトムレスフィルターの特徴

ボトムレスフィルター

ボトムレスフィルターは、底に金属の壁がなく、抽出されたエスプレッソがそのまま下に落ちてくる構造のフィルターです。
正確なタンピングや挽き目が求められます。

抽出圧や流れ、チャネリング(お湯の偏り)などの技術的なミスがエスプレッソとしてそのまま目に見える形で現れます。
味わいは、しっかりとしたボディと複雑な風味を持つ本来のエスプレッソに近づきやすく、豆本来の特徴を素直に表現しやすいのが特徴です。

加圧式フィルター

一方で、家庭用エスプレッソマシンに付属していることが多い「加圧式フィルター(クレマ増幅弁つき)」は、内部に圧力を加える構造になっており、コーヒー粉の挽き目や詰め方に関係なく、一定の圧力で抽出が行われるよう設計されています。
これにより、誰でも安定してクレマが立つ“エスプレッソ風”の仕上がりが得られ、初心者でも手軽に楽しめるのが利点です。

ただし、味わいはボトムレスフィルターに比べて平坦になりがちで、豆の個性や繊細な風味は感じずらいです。
香りよりもコクや厚みを重視したい場合には向いていますが、抽出を突き詰めたい方には少し物足りないかもしれません。

入れてみた様子

フィルター以外の条件はできるだけ同じになるようにし、エスプレッソを入れてみました。

左:付属のフィルター 右:ボトムレスフィルター

右がボトムレスフィルター、左が付属のフィルターです。
明らかに左の方がクレマが多くできていることがわかります。

ボトムレスフィルター
付属のフィルター

入れてから少し時間が経ってから撮ってみましたが、クレマ増幅弁がある方がクレマ(泡)が多く残っていました。
泡の大きさは付属のフィルターの方が少し荒く見えます。

味わいの違い

両者を飲み比べてみると、明らかに味に違いがありました。

ボトムレスフィルターの方が抽出時間が長く、甘み・酸味・苦味のいずれもより複雑で深みのある味わいが感じられました。
一方で、付属の加圧式フィルターはあっさりとした印象で、酸味が際立ちやすく、全体的に軽めの仕上がりになりました。

泡(クレマ)の質も異なりました。
ボトムレスは細かく繊細なのに対し、加圧式は量が多く時間が経っても残りやすいのが特徴でした。
香りの差は明確には感じにくかったものの、味わいの奥行きにははっきりとした違いがありました。

味やエスプレッソのとろっとした質感は明らかにボトムレスの方が良いなと感じました。

注意点

ボトムレスフィルターを導入するのに、2点注意点があります。

ボトムレスフィルターは、正確な粉の詰め方や均一なタンピングが求められるため、しっかりと準備しないと抽出が偏り、周りからコーヒーが吹き出し、めちゃくちゃ跳ねることがあります。
ただ、逆に粉がうまく詰められていなかったといった技術的な課題に気づきやすく、改善することにもつながります。

構造上エスプレッソを2つのカップに分けて抽出することはできないため、シングルのエスプレッソを淹れるには不向きです。(抽出後に分けることはできますが)

まとめ

デディカアルテで、ボトムレスフィルターを導入してみました。

豆の味をしっかりと感じたい!という人は購入するのはアリです。
ただ、そこまで細かいところを追求しているわけではない、準備に時間をかけたくないという人はわざわざ購入しなくても良いかなと思いました。