2026年4月4日

V60 MUGENドリッパーの特徴

  

結論

V60 MUGENドリッパーは、落ち切りの遅さを活かして味づくりの幅を広げられる器具です。

細かめに挽いて一投で注ぐ使い方では、安定したコーヒーを淹れやすいです。

一方で、あえて粗めに挽いて何度かに分けて注ぐと、かなりクリーンな味も作れます。

朝に時間をかけず淹れたい人にも合いますし、浅煎りをすっきり飲みたい人にも面白い器具だと思います。

このドリッパーについて

HARIOのV60 MUGENドリッパーは、HARIOが展開している一投式のドリッパーです。
公式でも、一回で注ぎ切る使い方を前提にしたドリッパーとして案内されています。

写真のように、内側は一般的なV60ほど大きなリブが目立たず、ほぼ平らな構造になっています。
V60とはお湯の流れ方がだいぶ違いそうだと、見た目の時点で分かります。

裏から見るとこんな感じ

1円玉くらいの大きさの穴が空いてます。

上から見ると、全体として開きのある形をしていて、01サイズ(1から2杯用)の器具ではあるものの、実物はわりと大きめです。

同じ01サイズだがMUGENの方が大きい。右がMUGENドリッパー。
横から見た大きさの違い。右がMUGENドリッパー

一投で注ぎ切る使い方を前提にしていることを考えると、このサイズ感にも納得があります。

今回は、かなり落ちるのが遅いと聞いて、実際どんな器具なのか気になって試してみました。

V60との比較

MUGENドリッパーの味の傾向を掴むために、今回も、同じ豆・同じ条件でV60と比較しました。

比較条件

【使用した豆】マイルドカルディ

【焙煎度】中煎り

【挽き目】コマンダンテ25クリック

【粉量】14g

【湯量】210ml

【湯温】90℃

【フィルター】アバカフィルター

【レシピ】ratioは1:15、42ml蒸らし、30秒で残りのお湯を中心に静かに注ぐ

比較した結果

V60の落ち切り時間が1分18秒、TDS(味の濃さ)が0.70となり、
MUGENの落ち切り時間が1分59秒、TDS(味の濃さ)が0.75という結果になりました。

落ち切り時間は40秒以上違っていて、MUGENのほうがかなりゆっくり抽出されていることが分かります。

一方で、TDS(味の濃さ)は少し高いくらいで、大きく離れているわけではありませんでした。

比較した印象

一投で淹れた場合、味そのものはそこまで大きく変わらないかなという印象でした。

抽出時間はかなり違うのに、飲んだときの差はそこまで大きくなく、MUGENのほうがほんの少しだけ濃いかなという程度でした。

この結果を見ると、MUGENは時間を長くかけてゆっくり落としながら、少しだけ濃度を上げていくような器具だと考えると分かりやすそうです。

レーダーチャート

【ドリップの速さ】1

【味の再現性】5

【抽出効率(TDS)】4

【扱いやすさ】3

【汎用性】3

ドリップの速さはかなり遅めです。

一方で、落ち切りまでに時間がかかるぶん、お湯の注ぎの速さが多少違っても抽出が大きくぶれにくく、再現性は高いと感じました。

抽出効率も少し高めで、扱いやすさと汎用性はV60と大きく差があるというより、別の考え方で使う器具という印象です。

見えてきた味の特徴

MUGENの味の特徴は、全体としてすっきりまとまりやすいところにあると思います。

V60のように注ぎ方で大きく表情を変えていくというより、器具側の抽出特性によって、味の方向がある程度整いやすい印象でした。
実際に一投で淹れたときも、味が極端に暴れる感じはなく、少し濃さを出しながらも、まとまりのある味になりやすいと感じました。

おすすめの淹れ方

まずは、細かめに挽いて一投で注ぐ使い方から試すのがおすすめです。

基本レシピ

【粉量】25g

【湯量】300ml(ratio 1:12くらい)

【挽き目】コマンダンテ21クリック(いつもより少し細かめ)

【湯温】92度(通常より2〜3度高め)

【注湯回数】一投

【目標抽出時間】2〜3分くらいで落ち切ればいい感じ

このレシピは、一投で注ぐことによって下がりがちな抽出効率を粉の多さと引き目によって調整しているレシピです。
豆の美味しい成分だけを取り出すようなレシピになってます。

朝とかに良さそうです。

アレンジ:粗めに挽いて何度も注ぐ

【粉量】14g

【湯量】231ml(ratio 1:16.5くらい)

【挽き目】コマンダンテ33クリック(通常よりかなり粗め)

【湯温】90度(通常と同じくらい)

【注湯回数】4〜5回

【目標抽出時間】3〜4分くらいで落ち切ればいい感じ

【注湯のポイント】前に注いだお湯が落ち切ってから次を注ぐ

個人的に最近ハマっている淹れ方です。
このレシピで淹れるとは、かなりクリーンに仕上がります。

粗め粉を引くことで早く落ちてしまうところを、ドリッパーの形状によってゆっくり落ちるようにできるので、しっかりフレーバーが出せます。
浅煎りよりのコーヒーなど、すっきり飲みたいときにはかなり合うと思います。

良い点と注意点

良い点として大きいのは、落ち切りの遅さを活かして味づくりの幅を広げられることです。

一投でしっかり濃度を作る方向にも使えますし、粗めでクリーンに落とす方向にも使えます。

もう一つ良いのは、朝に時間がないときでも、一投で形になりやすいところです。
手早く淹れたいときに使いやすい器具だと思います。

注意点としては、フィルターはしっかりリンスして、きちんと貼り付けておいたほうがよいです。

また、他のドリッパーと同じ挽き目でそのまま使うと、落ち切るまでかなり時間がかかりやすいので、挽き目の調整は必要です。

まとめ

MUGENドリッパーは、落ち切りの遅さを活かして味づくりの幅を広げられる器具でした。

一投で手早く淹れることもでき、粗めに挽いてクリーンに仕上げることもできます。

V60とは違う発想で使えるドリッパーを試したいなら、かなり面白い選択肢だと思います。